東アジア共同体―経済統合のゆくえと日本 (岩波新書)

東アジア共同体―経済統合のゆくえと日本 (岩波新書)


東アジア共同体―経済統合のゆくえと日本 (岩波新書) 東アジア共同体―経済統合のゆくえと日本 (岩波新書)
岩波書店 岩波書店
¥ 819

東アジア共同体をどうつくるか (ちくま新書 636)
東アジア共同体―強大化する中国と日本の戦略
東アジア共同体と日本の針路
日本にできることは何か―東アジア共同体を提案する
東アジア共同体を設計する

■12番ですよ 評価5 日付2007-06-14
この本は日本が東アジアの地域統合の中核として歩むことが、日本とアジアの安定・発展につながるものと考えて、「東アジア共同体」の重要性について書かれています。さらに「東アジア共同体」を構築するために、たくさんの政治的問題を解決して、「共同体意識」を芽生えさせることが必要不可欠であると書かれています。

また、この本の内容のほとんどが 1、地域統合への障害は何か 2、「東アジア経済共同体」の経済的メリット 3、「東アジア経済共同体」の成立のために、という3つのテーマについて丁寧に、たくさんのページを使って説明しています。これらの事がたくさん書いてあるのは良いのですが、「東アジア共同体」が必要な理由や、デメリット、EUとの比較などがかなり少なかったように思います。特に、どうして「東アジア共同体」が必要なのか、FTA(自由貿易協定)締結や地域協力だけではダメなのか、という内容があまり書かれていなかったので、共同体まで創らなくてもFTAや地域協力などで十分なのでは、と思ってしまいました。ただ、逆に考えてみれば、「東アジア共同体」のメンバーであるASEAN+3(日中韓)の国々の協力が最も大切である、という内容の事がたくさん説明されているとも言えます。特に日本と中国の間での協力がとても大切で、解決しなければいけない多くの問題があると書いてあります。具体的に言うと、環境破壊のひどい中国に日本が環境にやさしい技術を提供したり、日中で競争して取り合っているエネルギー資源を共同開発するなどして、これらを協力しながら解決していかなければいけないということが、他の分野についても詳しく書いてあります。

「東アジア共同体」を創ったときのメリットばかりで、デメリットがほとんど書かれていなかったので、この共同体を創る事が良いのか悪いのかは置いといて、東アジア各国の協力の必要性や、どのように協力していけばいいのかをしっかりと知ることができる良い本だと思います。

■眠かった 評価2 日付2006-10-16
東アジアはこれから儲かるから、現実や歴史を無視して貪欲に経済成長を取り込む方法について記述した本。
スケールの大きい夢のある話であってもいいのに、希望や理想が脳内に像を結ばず、典型的な官僚の作文だな、という感想。一般向けの新書でこれじゃあ正直辛かろう。
こういう歴史的な巨大コンセプトの成功には、国を超えた広がりやスケールを明るくイメージさせることが必要だ。例えば「彼と組めば安全だ」だったり「彼らの文明が魅力」とか「自分達の理想を世界に広める」でもいい。しかしそんな利点はなく、儲かる以外にメリットがないから底が浅く薄っぺらだ。
東アジア共同体に魅力がないのは、コンセプトの不純さが原因である。
■入門書としては最適 評価3 日付2006-09-26
東アジア共同体を考える最初の一冊としては、右に出るものはないだろう。安全保障や経済など様々な角度から、共同体について論じている。

しかし、本書に何か新しいものを期待してもおそらく見つからないと思う。実際、書名に惹かれて買ったのだが、東アジア共同体には経済的にこんなに大きな可能性がありますよ、とデータを駆使して語られても、そんなこと言われるまでもなく初めから分かりきった話じゃん!としか言いようがない。

まあ上記の不満は、本書が学術書ではなく、新書であり、啓蒙書であることに由来するものであり、仕方ないともいえるのだが。

本書のいいところをあえて挙げるとすれば、東アジア共同体を諦めずに追求しようとしているところ。巷には、「中国人は、中華思想があり、韓国人には、小中華思想があるので共同体どころか、日本とアジアは決して分かり合えないんだ」的な本が出回っている。「文明の衝突」にもつながりかねないそんな議論では、東アジアに明るい未来は訪れないだろう。しかし、本書は、日中に「共通の価値観」がないとしても、「友好的な外交関係の構築を怠ってよいということにはならない」として、経済的利益の共有や過去の歴史の克服を通した「共同体意識」の醸成の努力を訴えている。この点、大いに共感。著者も言うように、EUの歴史に学ぶべきところは多いだろう。
■東アジア共同体への道 評価4 日付2006-08-01
大学の授業のレポート作成のために読みました。
非常にわかりやすく、読みやすい本でした。

東アジア共同体=ASEAN+3(日中韓)

これらの国々が経済的・政治的・文化的に統合していくにはどうすれば良いか、また統合への障壁は何かと言うことが書いてあります。

しかし現状は、共同体の中心となるべき日中韓が終わりの見えない靖国、歴史認識、領土問題で対立しています。

これではどうしようもない。

そこでASEANはこれらの国々の間に中立的な立場ではいる必要がある。

と、まぁこれくらいにしておきましょう。

本書でも指摘されていますが、日本人はどうも「脱亜入欧」でアジアを軽視、蔑視する傾向がある。

しかし20年、30年後には同じアジアの中国はアメリカを抜き世界一の経済大国になるかもしれない。
そして同じアジアのインドは世界2位になる可能性がある。
そしてさらに現在世界2位の日本がいる。

ほら、アジアってすごくないですか?

協力せずしてどうするんですか?


■安全保障と農業問題 評価3 日付2006-02-02
東アジア共同体論としては最もまとまった本だろう。
実務家だけあって視点がリアルである。いわゆる「歴史認識」問題でも、
ナショナリスト的な対応はばっさりと切り捨ててしまう。確かに、現在のグローバル化した状況のなかで、日本が「生き残り」をかけるためには、地域的な経済共同体構築は欠かせないだろう。しかし著者がいうようにはすっきりいかない、多くの障害がある。本書の弱点のひとつは安全保障問題である。東アジア共同体を考えるとき、朝鮮半島の安定化=統一抜きには考えられないだろう。日本を含む東北アジア地域はあるいみ「アジアの火薬庫」である。単純に経済的必然性だけでは共同体の構築には至らない。もうひとつは、とりわけ農業問題である。著者の立場は技術移転等で
他アジア諸国の農業開発援助をすることと平行して、FTA等における農業自由化を認めるべきというが、「食の安全保障」という観点からすれば農業の分業単位は小さいほうがいい。それをわざわざナショナルからリージョナルなレベルに拡大するのは、飢きんや疫病からのセーフガードを壊してしまうことにならないだろうか。「共同体」とはいっても実際はグローバル化の小規模バージョンなのであって、その弊害も共通している。そこへの配慮が足らないのではないか。
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