レギュラシオン理論―経済学の再生 (講談社現代新書)

レギュラシオン理論―経済学の再生 (講談社現代新書)


レギュラシオン理論―経済学の再生 (講談社現代新書) レギュラシオン理論―経済学の再生 (講談社現代新書)
講談社 講談社
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■レギュラシオン理論の優れた入門書 評価5 日付2006-10-29

 当書は、フランス・レギュラシオン学派のミシェル・アグリエッタ(M.Aglietta)やロベール・ボワイエ(R.Boyer)などの著作の訳出に尽力された山田鋭夫氏(名古屋大学)が、必ずしも経済学を専門としない読者を想定して書き下ろした新書版によるレギュラシオン(調整)理論の入門書である。刊行は1993年であるけれども、日本における最も平易で簡潔な解説書と確言できよう。

 同書では、あまり聞き慣れないこの理論の大要が手際よく整理されており、「レギュラシオン・アプローチ」(著者)に関する格好の手引書となっている。そして、私が特に瞠目するのは前述したアグリエッタやボワイエの「出自」である。彼らはいずれも「官庁エコノミスト」の出身であり、アグリエッタは国立経済統計研究所などに、ボワイエは建設省や大蔵省などに勤務していたことだ。

 このあたりの事情と経緯については、本書「2.レギュラシオン理論の誕生と理論家たち」に述べられているが、彼らは1970年代のフランスにおける経済計画等に関わる中で、既存のモデルや用具が有効性を喪失し、ケインズ主義的手法等が奏功しなくなった現実を思い知らされる。そうした問題意識(現場感覚)が、やがてレギュラシオン理論として開花することとなったのである。

 私は、この学派を細かくフォローしておらず、今も存続しているのか否か生憎と判らない。しかし、私が当該理論に惹かれるのは、上述のように純粋なアカデミズムの世界から生まれ出たものではないという点にある。さらに、「レギュラシオン学派は…マルクスとのつながりを引き受けなければならない」(ボワイエ『現代「経済学」批判宣言』)というスタンスにも大いに共感を覚える。
 
■著者の経済観に疑問 評価3 日付2006-10-18
 レギュラシオン理論は、マクロ経済の構図を諸制度との関係の中で考察し、各国各時代の様式・システムを描き出す試みであり、理論それ自体は非常に興味深い。しかし、それを紹介する著者の経済学観にはかなり独特のものがあり、この点を十分留意して読み進める必要があるだろう。
 さらに、その後の議論においても、著者の述べる「民主主義の経済学」が何を目指しているのか、そこでは何が主体となって新たな「発展様式」が構築されていくのか、今ひとつ見えてこない。
 レギュラシオン理論におけるフォーディズム理解に関しては、日本に絞って考えると、産業構造の変化、特に農村部から都市部への人口移動という要素は無視し得ない意味を持っているように思う。また、傾斜生産方式が採られたことにも表れているように、「生産性インデックス賃金」はかなり遅れてもたらされたのではないかと推察される。そのように考えを巡らせると、レギュラシオン理論の特殊な理論フレームに従って考えることにどれだけの意義があるのか、十分な理解を持ち得ない。加えてミクロ的な基礎がない、との批判も有り得るように思う。

■レギュラシオンが本当に解る一冊 評価5 日付2005-01-28
レギュラシオン(調整)という、古典的な経済理論を打ち破って登場した新経済理論を解り易く解説してある本書。現代の経済を理解するのにここまで役立つ理論は無いであろう。特に、本書は専門書とは異なり新書であるので一般の人にも解るようにしつつも、レギュラシオンの特徴である、経済学を「変化」や「調整」と言った概念で捉える、という観点が損なうことなく書かれている。私は著者によるレギュラシオンの講義を受け感銘を受けたが、本書を読んで更に感動を受けた。是非とも読むべき一冊であると確信している。
■経済学入門書 評価5 日付2002-02-17
この本は最初半分が経済学説史超入門書となっていて、後ろ半分がレギュラシオン入門書。経済学部にいて「マルクスってよく聞くけど誰?」などと思う人などは最初半分読むだけでそれからの単位取得勉強の価値が上がる。著者の方も他学部の方にも理解できるように書いたと述べている。しかし、後ろ半分も経済主流3派の次ぐらいに有名な学派なので勉強になると思う。
教科書として無理やり買わされて、「大学に入って勉強してないなー」と自分を振り返る経済学部大学生は一度読むべきだと思う。
■世界で最も分かりやすいレギュラシオン理論に関する新書 評価4 日付2000-12-15
レギュラシオン理論の世界的権威である著者が書いたレギュラシオン理論に関する入門書が本書である。フランスの新進経済学が経済学初心者にも分かりやすい。またレギュラシオン理論を核としつつも、著者らしい興味深い視点から他の経済理論について述べられており、理解を深めることができ、経済学入門者、特に大学の経済学部1年生やビジネスマンにとって必携の書と言えよう。アフターフォーディズムにおけるポストフォーディズムの模索はネオフォーディズムに帰結するのか、それは読者諸氏が読後に現実経済社会の最新情勢に照らし合わせ、結論を試みると面白いだろう。
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