化粧品のブランド史―文明開化からグローバルマーケティングへ (中公新書)

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化粧品のブランド史―文明開化からグローバルマーケティングへ (中公新書) 化粧品のブランド史―文明開化からグローバルマーケティングへ (中公新書)
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■資生堂社員による資生堂PR本であり、「資生堂に肩入れした化粧品業界史および90年代の資生堂の経営戦略」。 評価3 日付2008-07-04
本書はまずタイトルが適切ではない。内容は資生堂社員による資生堂PR本であり、「資生堂に肩入れした化粧品業界史および90年代の資生堂の経営戦略」とするべきであろう。身内である社員が、あたかも中立的な視点に立った書籍であるかのようなタイトルをつけ、一般の読者に誤解を与えるような売り方は好ましくないと感じる。
全体的に化粧品業界や資生堂への思い入れが強く、これらの影響力を大きく書き過ぎていると感じる。したがって、読み方には注意が必要となるだろう。また時系列が度々前後したり、同じ事柄が何度も重複するなど、読みにくい箇所も多く、元号で表記してるのも面倒。
前半は経済・経営史や生活・文化史とリンクしながら化粧品業界の歴史を紐解いている。「ブランド史」というよりは、やはり「化粧品の経営・マーケティング史および文化史」と言える内容。歴史的事実に関する記述は情報的な価値があるが、著者の分析・見解には偏りがあると感じる。また、時代ごとのトレンドを生む女性心理の描写は表面的で、単なる歴史書の域を出ないものだった。
後半は「化粧品企業の目指すべき姿」を中立的・客観的に書いてるように装っているが、実際は「90年代資生堂の経営戦略のPR」に過ぎない。そして本書で喧伝している資生堂の優位性というのも、実際にはその後資生堂の低迷を招き、「失われた10年」へと突入した要因となったものであり、現在ではここで挙げられた資生堂の戦略のほとんどが方針転換されている。
以上のことから考えて、本書は歴史的事実に関するデータのみを得ることと、90年代資生堂の経営戦略について取り上げた部分を「失敗のケーススタディー」として読むのが妥当だと思う。あるいは、この手の本を読む際には注意力と批判的な視点を持っておくことが必要である、ということを学べたことが一番の収穫かもしれない。
歴史資料としての情報が豊富だったので、甘めで★3つ。
■社員としての経験を踏まえて 評価4 日付2007-03-17
 1947年に生まれた資生堂社員の経済学博士・中小企業診断士が、主としてマーケティングの観点から(第四章は経営戦略的視点から)近現代日本の化粧品ブランドの展開を論じた、1998年刊行の本。業界全体を極力客観的な立場で俯瞰しようとしたが、結果的には資生堂に関する内容が多くなったことは、著者自身認めている。第一期=明治維新〜関東大震災期は、洋風化と科学技術の導入、無鉛白粉の創製と斬新な広告の導入に特徴づけられる。次いで第二期=敗戦までの時期は、ボランタリーチェインシステムの導入、販売会社制度への転換、愛用者組織の形成等、制度品販売システムが、訪問販売制度とほぼ同時期に誕生する。第三期=戦後復興期〜1990年頃には、再販制度の下で乱売を抑えつつ、異業種との連携によるコンビナート・キャンペーン、男性化粧品開発等を通じて、化粧品業界は高度成長の一角を担い、海外メーカーとの競合にされされつつ、卸売業再編成、専門店の業態開発を進めていった。第四期=1990年代以降は、グローバル化を背景とした薬事法規制緩和、再販制度の廃止の下で、各企業はグローバルマーケティングやマルチブランド戦略の展開、UV・美白化粧品の開発、高齢化社会への対応等の課題に直面しつつ、特に百貨店とドラッグストアでの販売拡大に期待をかけている。以上の歴史を踏まえて、著者は21世紀型企業像として、ホロン的バリュアブル・カンパニー像を提示し、企業市民として経済価値、社会価値、従業員満足価値というトライ・バリューの調和を図る必要性を主張している。全体として化粧品業界の意義を強調しすぎているような感もあるが、本書は多くの図表資料を提示しつつ、個別企業の動向と業界の大局的変化を論じており、私見では特に消費者運動・専門店業態開発の項、高齢化社会への対応・マルチブランド戦略の節が興味深かった。
■日本を代表するブランド史の一面をかいま見ることができます 評価4 日付2004-12-21
 明治以降の日本の化粧品産業におけるブランディングの歴史がコンパクトにまとめられています。
 それは紅と白粉から化学の結晶、そして天然成分への回帰という化粧品の素材の進化の歴史であり、UVや美白といった機能の進化の歴史であり、店販から訪問販売、通信販売といった流通の歴史でもあり、昭和初期のモダンガールから水着のキャンペーンガールが彩った広告の歴史であり、セールスプロモーションの歴史であり、ブランドの歴史でもあります。
 それはすでに化粧品という一分野のブランド史を超えた存在であり、本書からは日本におけるマーケティング、ならびにブランディングの歴史を垣間見ることができます。
 化粧品に関係するしないに関わらずマーケティングに携わる方におすすめの一冊です。
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