財政学から見た日本経済 (光文社新書)

財政学から見た日本経済 (光文社新書)


財政学から見た日本経済 (光文社新書) 財政学から見た日本経済 (光文社新書)
光文社 光文社
2002-10-17 
¥ 735

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■チャートが秀逸。文章は下手。内容は良い。 評価3 日付2008-07-25
無責任な戦時国債乱発とその当然の帰結としての超インフレという終戦前後の苦い経験から、日本は60年代初頭まで国債を発行しなかった。60年代半ばの不況で仕方なく国債を発行したが、とにかく国債発行については禁欲的な国だった。
それがオイルショック以降の低成長期に入り国債発行が常態化してしまい、70年代の終わりには早くも国家破産が囁かれ行政改革が叫ばれた。国会議員は歳出の何パーセントかをネコババすることでメシを食っているので必死の抵抗をしたが、とにかく歳出削減路線がとられ、更にバブル景気による歳入増加により「増税なき財政再建」はそこそこ成功したかに見えた。そこにバブル崩壊が起こった。ところが80年代の反動で議員達は財政支出増を強硬に主張した。バブル崩壊の効果も過小評価された。で、再び赤字財政体質に逆戻りしてしまった。バブル崩壊の影響は長引き遂に97年の金融恐慌が起こった。これは専ら金融部門の破綻であり基本的に金融政策で対処されるべきものだった。橋本内閣の財政再建路線に甘い見通しがあったのは確かだが基本的方向は正しかったのだ。ところが新聞・雑誌の愚かな世論誘導を真に受けて「97恐慌の主因は財政再建路線=経済失政にある。」と小渕内閣は「勘違い」してしまった。途方もない額の財政政策が組まれた。ケインズ政策の効果はある。本書のチャートで実証されている。しかし議員定数不均衡の結果、大して波及効果の望めない地方にカネがばら撒かれ真価が発揮されなかった。また恒常所得仮説は正しく庶民は消費を手控えた。その結果が現在の大財政赤字だ。
特殊法人と地方自治体では無責任な経営がなされても税金で穴埋めされる。むしろ赤字にしたほうが儲かるというモラルハザード構造がビルトインされている。
著者はど田舎に未来はなく、むしろ安楽死させるべきと主張している。
■日本経済の行く末は 評価4 日付2006-03-26
本書は、数式や難しい理論は出てこなくて、ニュースにでてくるような平易な言葉で書いていります。

今までのような地方に無駄な公共投資をしていたら、財政破綻(デフォルト宣言)するしかない。必要な改革(郵政改革、年金改革、地方分権改革、特殊法人改革)を行って、無駄な資金の流れをストップしなければならない。無駄な資金を削減した上で、増税をお願いするのが筋だろう。地方に関しては、必要な財源が確保できる単位で市町村合併をする必要がある。地方交付税や補助金は、地方の自立を妨げるものだから、本当に必要なものに限るべきだろう。むしろ、地方分権で自立した街づくりをするべきだろう。

第1章から第6章までの要約を示します。
・第1章:負担率という面からいえば、諸外国に比べて高いほうではないが、リターンという面からいえば、負担感が強いといえよう。
・第2章:バブル崩壊以降は、財政政策を行って、資金を使ってもらおうとしたが、金融不安、雇用不安のために、あまり意味のある政策とは思われなかった。
・第3章:産業の乏しい地方は、補助金に頼らざるを得ない政策になっている。つまり、地方の自立を阻んでいる。
・第4章:銀行は民間企業には貸し渋ることで、資金が余っている。そこで、国債を買うことで資金余りを解消している。郵便貯金や年金の積立金の多くは、使途不明な特殊法人にいっている。
・第5章:国の借金は返さなければならない。返すために、増税ということも覚悟しなければならない。
・第6章:借金を返せない特殊法人は全廃すべき。苦しい地方は、返済能力を確保するべき近隣の市町村と合併したり、借金をしないようにするべき。補助金制度を廃止し、地方分権を進めて地方の自立を促進するべき。

私の意見としては、地方は地方のいいところを活かして自立していくべきだと思う。今のままでは、国も地方もやっていけない。国以前をやめて、自立した生活をやっていくべきだ。


■「税金の無駄遣い」の中身が分かる本 評価5 日付2005-09-13
世間では国の「税金の無駄遣い」について盛んに議論がなされていますが、実はその中身はよく分からない、という方も少なくないのではないでしょうか。

よく「財政投融資」という言葉をニュース・新聞等で耳にしますよね。
この言葉をなんとなく聞いたことはあって、何やら財政における諸悪の根源らしいということまでは分かっても、それ以上のことは分からない、でももうちょっと知りたいという方に、本書はぜひおすすめしたい本です。

題名だけ読むと何だか難しそうな感じを受けるかもしれませんが、全然そんなことはありません。予備知識の乏しい読者でも飽きずに読み進められるよう、十分に配慮がなされていると思います。

私は学生で、しかも財政や政治を専門とする者ではありませんが、非常に楽しく読み進めることができました。


■郵政民営化が根本原因ではないことが理解できました 評価4 日付2005-01-26
この本を読むまで、郵政民営化が税金の無駄遣いをなくす処方箋だと思っていましたが、そうじゃないことに気づかされました。また、世界各国の税負担とその満足度の記事も興味深く読みました。
主張したいことをは何度も繰り返しかかれていましたし、価格との対比を思うに得した気分です。
また、最後の方は著者の理想の日本像のような内容が書かれてあり、これは読みたくなかったかな、と思いました。
■熱い財政再建論。 評価4 日付2005-01-21
著者は若手の財政学者。自民党政権下での農村部へのバラ撒きや特殊法人の放漫経営、小渕内閣の財政出動等によって、日本の財政は破綻の危機に瀕しており、将来のハイパーインフレ又は増税が不可避であると説く。主張自体は目新しいものではないが、実証データに基づいているので説得力がある。

ただ、時系列での分析を示していないので、いつ頃破綻する可能性が高いのかは本書からは判断できない。この点は、例えば当面の景気低迷の克服策として一部で有力に主張されているインフレターゲット論との関係を知るためにも必要な情報であるから、是非とも提示してほしかった。

著者はまた、これからの福祉政策は従来のような地域単位、産業単位ではなく、あくまでも個人を単位として行うべきだと提言する。この点での著者の主張はとりわけ熱い。行間から熱意が染み出してくるようだ。本書第3章は全ての都市住民必読といってよいだろう。評者も著者の主張に深く同意する。

最後に、蛇足ながら、財政学者は偉くなればなるほど、財務省か旧自治省に取り込まれ、いずれかの系統の御用学者になりがちである。実際のところ日本の財政政策の中枢はこれらの官庁なのだから、仕方ない部分もあるが、著者には是非とも中立を貫いてほしい。


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