資本主義を語る (ちくま学芸文庫)

資本主義を語る (ちくま学芸文庫)


資本主義を語る (ちくま学芸文庫)
筑摩書房 筑摩書房
¥ 998

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貨幣論 (ちくま学芸文庫)
ヴェニスの商人の資本論 (ちくま学芸文庫)
資本主義から市民主義へ
会社はだれのものか

■オカネとは? 評価4 日付2008-03-30
 作者の該博な知識から着想される見解は意外性がある。対談者もその才気に触発されるのではないか。

 第5章において、今村仁司氏は「ロシア革命以降のソ連の経験というのは、理性の統治という啓蒙主義の理念を、ある意味では純粋に実現しようとした帰結だった」(P138)と述べている。これを自分流に解釈すると、
 (コトバは言霊といわれるが、)オカネもそれに近い本源的な性質(霊性)をもつ。しかし、歴史的時間の経過につれ、その本源的な性質は忘れさられ、むしろ場合によっては士農工商に見られるようにオカネは賎視されることもある。が、近現代においても、実は、その本源的性質は決して失われていない。本源的性質に対しては理性の統治を実現できない。しかるにオカネを旨とすると資本主義に対しては理性の統治を実現できない。ソ連は資本主義の弊害のゆえ社会主義という理性の統治(啓蒙主義)を実現しようとしたが、その理念を貫徹しようとすれば、矛盾が顕在化し、それをどうにかして克服したいと目論むと本意ではないが現実的には秘密警察国家(特に宗教、思想への過干渉)とならざるをえず、それにより、民心が離反し崩壊した。そもそもの起点であるオカネというモノは誓願祈祷におけるカミ(神霊)からのコトバに対するヒトの畏敬の意識をモノ化したものではないのか。色々と考えさせてくれます。


■貨幣についての分析は面白い 評価2 日付2006-04-14
本書は岩井氏のインタビューや対談集という形で資本主義にかかわる問題を扱っています。面白かったのは網野善彦氏との対談の部分で農業を基本とした日本の歴史に対する反論が展開されます。海民や山民や商工民がたくさん居たこと、それ以外の博徒や流浪の民によって金融制度が支えられていたことや米は貨幣的だったということなど。柄谷行人氏はこれでもかというほどいろいろな哲学や思想家の著作を引用します。何度も挫折しそうになりました。貨幣や法人についての考え方は面白いです。
■最良の入門書 評価5 日付2005-06-30
これは、岩井氏の仕事の幅を知るのに最良の入門書である。インタビューと対談を集めたものなので、肩肘張らずに読むことができ、かつ学ぶことが大変多い。『会社はこれからどうなるのか』に集大成されたポスト産業資本主義における岩井会社論が、第一章の「差異と人間」と第三章の「法人と資本主義」との組み合わせから生まれたのがよくわかる。個人的には、進化論と経済学の関係を論じた第二章と、網野義彦との対談、水村美苗との対談が面白かった。
■ファンなら楽しめる内容 評価2 日付2003-09-29
あとがきにも触れられているが、対談や断片的なエッセイ、論考の類を集めた小論集。岩井克人の「資本」「貨幣」を巡る思考がどちらかと言うと「ナマ」のままで露呈していて、その露呈ぐあいが思考の過程を物語っており、興味深い。

論考だけでなく、対談編も面白い。意気投合というか自問自答しているような今村仁司との対談、微妙なところで「交通事故」が起こっている柄谷行人との対談、お互いに足りない知識を埋め合おうとするかのような網野善彦との対談。そしてただの同窓会的おしゃべりが続く水村美苗との対談。と三者三様の対談も楽しめる……。

と……はいえ、楽しめるというのは岩井ファンであることが大前提。一見さんにはちょっと厳しいかもしれない。新しい何かが特に整理の上で提言されているわけではないし、論旨には繰り返しが多い(ま、書き下ろしではないから仕方ないだろうけれども)。岩井ファン以外だったらお楽しみ度は大幅ダウン。


■お薦め 評価5 日付2003-02-23
本書は柄谷行人や水口早苗ら一流知識人との討論を中心に構成されている。岩井の夏目漱石論や文化論は経済学に留まらない彼の見識の深さをうかがわせる。また彼の生立ちや人生観にもふれられ彼の知られざる一面も垣間見られる。ただし口語主体なため本としてのまとまりに欠けるのは難点か。
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