経済史入門―経済学入門シリーズ (日経文庫)

経済史入門―経済学入門シリーズ (日経文庫)


経済史入門―経済学入門シリーズ (日経文庫) 経済史入門―経済学入門シリーズ (日経文庫)
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■入門書ではないが面白い 評価4 日付2007-05-27
 経済学史が勉強したくて、手に取ったのに、この本は一般的な諸説を取り上げているものではなくシュンペーターを応用した自説を展開している本です。では、自説を展開しただけの本に何故星を4つも付けたかというと、面白かったから、の一言に尽きます。
 世界で初めて近代的資本主義が興ったのがイギリスで、アジアでは日本です。ユーラシア大陸の西と東で興ったのは偶然ではない。果たしてその理由は・・・。
 一般に、鎖国をやめ、明治時代となり、富国強兵政策を採ってから経済が発達したと思われている。が、その萌芽は既に戦国時代に始まっており、江戸時代には中国を、その後イギリスを凌駕する。その原動力はなにか?
 そして、経済の争いは本物の戦争へと向かう。日清戦争では勝利したものの、最後には米国との決戦へ・・・。
 論理の展開が非常にうまく、読みやすい。もしかしたらトンデモ本かもしれないが、常識を打破し、空いた隙間を埋めてくれる読み応えのある一冊です。新書なのですぐ読めます。歴史にも興味のある方にもお勧めです。
■教科書というよりは読み物として 評価4 日付2007-01-23
読み物として購入。

海洋史観をもとに歴史に経済学の理論を適用しようと試みます。

前半では「経済学史とは何か」を出発点として、マルクス・シュンペーターを評価。筆者はマルクスは社会主義への反動として極めて低い評価を与えられることが多いが、経済学史の理論化としては優秀であることを指摘。一方で、その限界を説明し、シュンペーター史観への移行が必要だと主張します。

経済史という一つの分野への入門書として、ある学説にこだわっていくことについては評価が分かれるでしょう。筆者の立場は比較的特異で、経済学史の入門書として無難な選択をしたいのであれば他のテキストなどを用いるのが無難かと思います。が、読み物としてなかなか興味深い点もあることは指摘しておきます。

個人的に気になったのは著者が江戸時代の中国への銅銭輸出をとりあげ「日本は中国に対し経済的な優位に立ったといえるでしょう」と主張を繰り返していること。いまいち納得できませんでした。その他、学説として批判を受けそうなところがいくつかあったように思います。個人的には、海洋史観がこれからも数々の批判を取り込み、より発達してくれれば面白いかも、などと野次馬的なことを思ったのでした。
■入門であり、一つの到達点です 評価5 日付2006-05-13
そもそも川勝教授の海洋史観が「経済学史入門」として日経文庫に取り上げられたこと自体が、画期的なことだと思います。

教授は、唯物史観が描ききれない「物産複合」と「新結合」という概念を導入し、人間中心でもなく環境原理主義でもない新しい経済学史の在り方を示しました。
いわゆる「川勝節」も健在です。膨大な先人の研究成果を簡潔明瞭に引用しつつ、貿易が各地の文化・経済に与えた影響を示し、経済の在り様と変遷を明らかにしていきます。

ここで示される経済学史は、イデオロギーとは無縁の、正に「経済」の歴史です。大局観を見失わず、各地の実情にも目を向ける、誠にバランスの取れた歴史観がそこに示されています。
そうした歴史観が、今まで見過ごされていたアジア経済圏に光を当てることで誕生したというのも興味深いことです。全体に目を配り、ありのままに解釈するという著者の姿勢には心から共感できます。
■新しい視点による日本論へ 評価4 日付2004-09-07
「入門」というタイトルだが,学説を紹介するだけのテキストではない.
あくまで著者自身の視点から経済史の枠組みを読者に提供する,
小さいが野心的な書物だ.
特に産業革命期の英国と同時代の日本を並列し,ユーラシアの両端の
島国がともに東アジア交易を通じて「勝ち組」になったという見方が
面白い.「アジア」をひとまとめにして後進地域とする西洋史学の
観点を否定するものだ.日本が金銀銅の生産国として,当時からアジ
ア経済を支配していったという論証も自分にとっては発見だった.
■西洋史学の枠組みを超えた史観 評価5 日付2004-01-08
小冊子ながら内容が非常に濃い。前半はマルクスを含むアダム・スミス以来の経済学、文明論、発展論をその時代を背景にしながら簡潔にまとめている。前半単独でも各々の学説が明快に位置づけされており、経済学史、文明論史の入門として最適の書である。ついで、著者は新しい視点を提起し、後半においてその裏づけを縷々述べている。その新しい視点は具体性があり、これまでの西洋史学の枠組みを超えた史観を示しており、読者は単に知的な刺激を受けるばかりでなく、過去のみならず将来へむかって、自己の世界観の変更を迫られることになろう。

著者はその学問の姿勢として朱子の言葉を引用している。明治維新の原動力であった漢学の素養と思想が、この前途多難な時節に、新たな衣をまとって本書の形をとって生まれ出でたのなら、わが国に変革が訪れるのも遠くないであろう。


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