グローバル資本主義の危機―「開かれた社会」を求めて
グローバル資本主義の危機―「開かれた社会」を求めて
グローバル資本主義の危機―「開かれた社会」を求めて
日本経済新聞社 日本経済新聞社 George Soros
¥ 1,890
グローバル・オープン・ソサエティ―市場原理主義を超えて
ブッシュへの宣戦布告―アメリカ単独覇権主義の危険な過ち
世界秩序の崩壊 「自分さえよければ社会」への警鐘
ソロス―世界経済を動かす謎の投機家
ソロス
■10年後の今読んでも有益な著作!―G・ソロスによる示唆に富む市場原理主義批判! 評価5 日付2008-08-16 原著は緊急出版の形で1998年に刊行されたが、それはちょうどアジアで勃発した通貨危機とその余波ともいうべきロシアでのメルトダウン(金融麻痺)の発生期に対応していた。ソロス氏の本書(2部構成)の刊行は実にタイムリーなものであった。10年後の2008年の現在においても、本書が有する価値は些かも減じていないというのが率直な読後感である。国際金融に関するやや難しい用語も登場するが、市場原理主義とそれを理論的に支える新古典派の経済理論批判をはじめ、グローバル資本主義の特質とそれが孕む深刻な問題性を、自らの実体験(投機・慈善活動)を踏まえて骨太・克明に描き出しており、興味が尽きない作品であった。コンパクトに整理された「まえがき」と「序論」も明快で、全体の読了後にふたたび眺めると理解もより深まるに違いない。
本書で扱われている内容は多岐に及んでいるが、ソロス氏が最も主張したい点を指摘すれば、それは金融市場が本来的に不安定な存在であること(その根源的要因としての貨幣と信用、金融イノベーション)、そして「市場の力はたとえ純粋に経済、金融の分野に限ってみても、ひとたび完全な権限を与えられると混乱を引き起こし、最後にはグローバル資本主義システムの崩壊に道を開きかねない」(32頁)ということになろう。われわれは市場の自動調整作用に全幅の信頼を寄せる市場原理主義を否定するとともに、「均衡」概念に基づく主流派経済理論への批判的認識を共有する必要があると彼は説く。本書では、「相互作用性」、「誤謬性」そして「オープン・ソサエティ」という3つの鍵概念が設定されているが、それらは誤った支配的な思考様式から脱却するための道標であり、ソロス自身の社会哲学を反映した思想的概念でもある。市場的価値と社会的価値・本質的価値の区分の重要性や「理性の時代」から「誤謬性の時代」への移行の必要性、そして「われわれの時代の最重要課題は、普遍的に適用される、グローバル社会の行動規範を確立することだ」(322頁)という指摘など、示唆に富む内容が数多く盛り込まれている。
なおソロス自身による、「私が金融の魔術師としての評価を受けていなければ、はたして読者はこの本を読んでくれただろうか」(303頁)という自分自身への問いかけはなかなか面白いが、私は何の「偏見」を持つことなく本書と向き合うことができた。投機・実務家、慈善家であると同時に、かのK・ポパーの著作に親しみそれから大きな影響を受けたソロスは、思想家・哲学者としての資質も十分に備えた多面的な人物である。10年後の今だからこそ本書をあらためて読み直す価値が高まっているとはいえないか。多くの方に是非とも読んで頂きたい現代的好著である。
■また読み返したいです 評価3 日付2008-04-08聞きなれない単語が多くて分かりづらかったです。表面的な部分しか私自身が追えてなかったのが非常に残念ですが、一概に個人的な私利私欲で動いてるわけではないというのだけは分かりました。
ソロス氏がやりたい事と、国際情勢のギャップが何とも。今後どの程度まで個人と他人の境界が縮まるのか分かりませんが、幼稚な考えではありますが世界中の人が機会平等の社会であって欲しいです。
■世界的な投機家であり、活動家でもあるソロスの見方 評価3 日付2006-02-06 世界的な有名なヘッジファンドの運営者、現在のグローバル化の形態やその進展に対して否定的な分析を展開する。通貨金融の専門家であり、同時に政治哲学や思想などにも深い知識を持つ彼の分析は、それらの用語が混在している。多少、読みにくい本ではあるが、グローバル化を経済的に捉えるというグローバル化論争の支柱・中心(周辺としては文化、政治などがある)を理解する為には必要だろう。
■不安定であることの認識を 評価4 日付2004-10-14投機家として有名なジョージソロスの著書である。
著者は、この世に完璧なものはないという。しかし、そのことはあまり認識されておらず、そのことがグローバル資本システムを脅かす可能性があると言っている。不安定であることを認め、だからこそ改善する余地が十分にあり、そのことが人類を進歩させてきたと著者は言う。
経済的にはグローバル化は実現しているが、それに見合うグローバルな政治を行うシステムがないことも問題と言っている。
この本は、賛成する・しないに関わらず、著者の鋭い考え方に触れることができ、読んだ人の世界観も広がるのではないかと思われる。
■市場原理主義(Market Fundamentalism)に対する根源的な批判 評価4 日付2000-12-30現在この国の存在を脅かすグローバリゼーションという怪物。その申し子ソロスは、この世界資本主義の中で何故ここまで成功することができたのだろうか。それは彼が資本主義に対して斜に構えた視線を常に持ち合わせていた、つまり「金融市場は常に不安定である」ということを体で感じていたからだ。市場原理主義(Market Fundamentalism)がはびこる現状、ソロスの鋭い批判を受け止めなければならない。
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