エコノミスト・ミシュラン

エコノミスト・ミシュラン


エコノミスト・ミシュラン エコノミスト・ミシュラン
太田出版 太田出版
¥ 1,554

経済学者たちの闘い―エコノミックスの考古学
改革の経済学
経済学を知らないエコノミストたち
経済政策を歴史に学ぶ [ソフトバンク新書]
経済論戦は甦る (日経ビジネス人文庫)

■リフレ派のリフレ派によるリフレ派のためのミシュラン 評価1 日付2007-02-23
タイトルを「リフレ派によるエコノミスト・ミシュラン」としたほうがいいのではないか。残念ながら、エコノミストに対して、客観的な評価ができている本とは考えられない。一貫して、著者達の「リフレ派にあらざるは反主流派」というイデオロギーが強く押し出されている。

多面的な視点を知りたく、かつリフレ派の意見を知りたいなら、読む価値は大いにあるだろう。対談で同じ主張の人だけしかいないということに、疑問を思わないのか?
■偏向しているが、貴重な試み 評価5 日付2006-09-26
今さらながらの批評になるが、本書はとても刺激的で、リーダブルな仕上がりになっている。しかし看板に偽りありで、ミシュランをうたいながら、星をつけて採点しない。ここにはある種の「逃げ」がある。また価値中立性の欠落は、やはりミシュランという書名に対する矛盾になっている。

政権に重用されなかった、リフレ派のプロパガンダ本になっているため、公平性という観点からかなり怪しい仕様になっている。よって本書は、基本的にインフレターゲット政策の称揚と構造改革派に対する批判という二大モチーフに貫かれることになる。そのために小泉政権が安倍政権へと移行した今、その経済政策におけるプロセスと帰結を本書とすり合わせて、本書の外で、本書の主張する経済政策とその蓋然性を検討する必要がある。

また前半の討議の圧倒的なオモシロさに比較すると、後半のブックレビューはレビュアーの質に左右されるため、かなり退屈に感じるかもしれない。

編集者の発想としては「ミシュラン」はいいアイディアだったのかもしれないが、そのネーミング自体が偏向した内容を隠蔽するレトリックとして機能していることにも注意すべき。どうせなら、ブックレビューをすっぱり切って、前半をリフレ派、後半を構造改革派の討議パートに分けて、星を付け合いながら互いに批判しあうような構成にしたほうが、より面白かっただろう。そこで発生した論戦が、他の様々なメディアに飛び火して、連鎖していった方がリフレ派に加担する編集者にとっても好都合だったのではないだろうか?試みとしては貴重なので、装いも新たに再開して欲しいと思う。
■日本経済論議の論点整理 評価5 日付2004-09-23
リフレ派による日本経済論議の論点整理。エコノミストや学者が固有名詞で語られているので、テレビや雑誌でよく見る議論の立場や主張が分かりやすくなると思います。

著者たちの議論は一貫しており、マクロとミクロの政策の役割を明確にした上で、マクロの金融政策(インフレターゲット論)をもって総需要を大きくし、景気を回復させましょう、というもの。いろいろな切り口があるにせよ、論理的に明快な「経済学」というツールを持って自分の立場を明らかにし、それに照らし合わせて、他の立場や議論を位置付け、評価するとい作業は、混乱を抱える一般読者に爽快感を感じさせます。
中国デフレに代表される構造デフレ説や企業こそが需要を喚起する需要喚起説、ダメな企業の清算主義、不良債権問題など経済学の立場で観察すると「トンデモ」な議論になるのでしょうが、何のためらいもなく論理で整理されることに著者たちの学者としてのプライドが伺える好著。


■エコノミスト達をマクロ経済学の観点から系統立てて整理する 評価5 日付2004-05-10
 日本経済の不況脱出に向けて提言を寄せている様々なエコノミストを遠慮無く批評する痛快な一冊。不況脱出のための提言が、構造改革派かリフレ派かで大まかに区別し、さらにそれぞれのエコノミストの主張の特徴にも少しづつ触れている。マクロ経済学というアカデミズムの論壇では、マスコミで著名なエコノミストが必ずしも主流派ではないことを教えてくれる。

 本書の面白いところは、単にエコノミストの主義主張を知ることができるだけではない。登場するエコノミストのバックグラウンドを知ることで、これまでの経済学におけるおおまかな流れを把握できるように工夫されている点である。まず経済学で確立された理論を現実経済にどのような形で実践・応用してきたかを振り返り、経済学史をケーススタディー的に教えてくれる。その上で不況を脱しきれない日本経済とそれに対する経済政策について論じられており、非常に説得力のある議論が展開されている。

 もちろん編者・評者はいずれもリフレ派の学者なので、構造改革に対してはかなり厳しい意見が続出している。そのため本書がリフレ政策推進のための一冊という意味合いを持つことは十分承知しておかなければならない。しかしながら現代のエコノミストを系統立てて整理し、経済学という観点から批評するという本書のスタイルは斬新であり、その工夫は大いに評価すべきであろう。経済学の初心者には是非お勧めしたい一冊である。


■リフレ派の飲み屋での愚痴大会? 評価3 日付2004-04-05
流行のエコノミスト評論系ですね。リフレ派によるリフレ万歳論みたいな。。まぁ、経済学って本来はこうやって、マニアな人達がマニアに語る秋葉系的なものなのかもしれません。構造改革派と呼ばれるような人々を嫌う人々は読んでいて「そうだそうだ!」とイケイケモードでしょう。毒舌大好きの私にとっては皮肉たっぷりの愚痴大会みたいで結構笑ってしまいました。今は、量的緩和→株価上昇で「そら見ろ」って感じなのが伝わってきます。

しかしながら、真面目に経済を考えている人には、リフレ派だ構造改革派だと派閥争いと揚げ足取りに終始することが腹立たしく思えるかもしれませんね。主流派であることを自慢げに話ながらもなかなかマスコミや政策立案者に理解してもらえていないという現実から逃避していては、経済政策のための経済学ではなくなってしまうのでは、と個人的には思いました。


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